役者舞台之姿絵 高らいや やまとや

歌川豊国

作品情報

データ

作者 歌川豊国
時代 江戸時代 寛政7年(1795)
素材・技法 大判錦絵 二枚
サイズ 各38.0×25.0㎝

解説

寛政7年(1795)五月河原崎座で上演した、初代尾上菊五郎十三回忌追善「仮名手本忠臣蔵」に取材したものである。「仮名手本忠臣蔵」の狂言は、赤穂四十七士の敵討の事件を脚色したもので、曽我物語と共に有名な狂言である。この狂言は、当時の歌舞伎狂言中の代表傑作で、これを上演すれば必ず成功するという人気ものであった。歌舞伎では、忠臣蔵をそのまま劇化することが許されなかったため、時代を足利時代、江戸を鎌倉とし、浅野長矩を塩谷判官、吉良義央を高師直、大石蔵之助を大星由良之助と変えている。
高らいや、二世市川高麗蔵の演じる千崎弥五郎で、夜の山崎街道で早野勘平と出合う場面である。はじめ弥五郎が怪しむので、勘平は手にした鉄砲を弥五郎に渡すところで、俗に「鉄砲渡しの場」といわれている。大小の刀を上下に構えた役者の姿態美は、口にくわえた小田原提灯の縦の直線と調和して、一種の構成美をつくり出している。
やまとやは前図の千崎弥五郎と一組みになるもので、坂東簑助の早野勘平を描く。簑を着て、鉄砲を持った猟人姿で、この簑が画面に変化と効果を与えている。千崎弥五郎の図が直線的構図であるのに対して、これは「く」の字に身を曲げ、右手の鉄砲で均衡を保たせた姿で、二枚一組みで配色と構図が考えられている。