重要文化財

妙法蓮華経 授記品

作品情報

データ

時代 平安時代(12世紀)
素材・技法 紙本著色・墨書 一巻
サイズ 26.1×全長254.1㎝

解説

平安時代以降、妙法蓮華経は数多く書写され、日本の写経の中で最も多いのがこの妙法蓮華経である。  妙法蓮華経、その写経の功徳によって自身や一族の救済と成仏を願う者が多かった。特に平安時代後期には、華麗な装飾を施した、いわゆる装飾経が数多く書写された。本図の経は、装飾経の典型的な一例で、見返(みかえし)絵には、庭に咲く満開の桜を前に、縁先で語りあう男女の貴人を描いている。桜樹や庭の水の流れ、土坡(どは)の表現には、古い大和絵の技法が示され、人物の表情は、『源氏物語絵巻』などにも見られる引目鉤鼻(ひきめかぎはな)の描き方で、いずれも平安時代後期の王朝文化の香りを色濃く漂わせている。料紙は、表裏ともに金銀の霞引・切箔(きりはく)・砂子(すなご)などを散らし、欄外の上下には、さらに草花文を描いている。本文は一行が17字、114行にわたり、金銀泥(きんぎんでい)の界線の中に謹厳に書写されている。