黒楽茶碗 銘 あやめ 

長次郎

作品情報

データ

作者 長次郎
時代 桃山時代(16世紀)
素材・技法
サイズ 人口 高8.9㎝ 口径10.2㎝  高台径4.6㎝

解説

千利休の高弟南坊宗啓(なんぼうそうけい)が著した『南方録』によると、天正15年(1587)五月中に利休は「茶碗 黒 渓(あやめ)」を三回用いているが、本図の茶碗はそれにあたるものと推測されている。外箱蓋表に「あやめ 長次郎作 旦(花押)」、内箱蓋表に「長次郎焼 茶碗」と宗旦が書き付けている。同じく長次郎作の茶碗「まこも」の中箱に、久須美疎安が「あやめハ千宗守ニ有之」と記しているので、宗旦から一翁宗守、さらに官休庵に伝わったと思われる。後に永楽善五郎の所持となり、草間伊兵衛に譲られた。 「大黒(おおぐろ)」や「俊寛」の形式とも違った独特の作行きの茶碗であるが、現存する長次郎黒茶碗の中では侘びの趣きの深い名碗の一つである。全体がかなり厚手に成形されており、胴にわずかにくびれがつけられていて、肌の起伏に言い難い趣きがある。高台は小振りで低く、高台内の兜巾(ときん)は渦がなくおとなしい。畳付(たたみつき)には目跡(めあと)が五つ残っている。黒釉には長次郎焼特有の黄褐色のかせがむらむらと現れていて、いかにも古色蒼然とした趣きである。見込みはいちだんとかせており、いわゆる茶溜りはないが、かなり深く削り込まれている。釉がかりも厚いようで、内外に幕釉(まくぐすり)のように見えるところがある。長次郎外七種の一つ。仕覆(しふく)は利休間道(かんとう)が添っている。