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所蔵企画展 江戸の四季 -浮世絵に見る歳時とくらし-

所蔵企画展 江戸の四季 -浮世絵に見る歳時とくらし-【終了しました】

2013年6月14日(金)~7月23日(火)

江戸時代に入り大都市では、芝居町、遊里、祭礼の行われた寺社に代表される盛り場を中心に活気ある町人の文化が開花しました。人々は、四季の移り変わりに心を寄せ、春の花見、夏の涼み船、秋の月見、紅葉狩り、冬の雪見といった行楽や、寺社の祭礼、雛祭り、七夕などの年中行事を大事にした生活を送りました。庶民の関心事が主題として取り上げられた浮世絵には、こうした四季の変化を楽しんだ人々の姿が生き生きと描かれています。本展では、月々の行事を題材に婦女子を描いた勝川春章の傑作、重文「婦女風俗十二ヶ月図」をはじめ、鈴木春信、喜多川歌麿、歌川広重らの肉筆浮世絵・浮世絵版画を通して、季節感あふれる江戸のくらしを見つめます。

主な作品

重文 婦女風俗十二ヶ月図 鈴木春章

重文 婦女風俗十二ヶ月図 鈴木春章
江戸時代 18世紀

春章は、鳥居派の類型化した役者絵にかわる写実的な似顔絵に優れた業績を残したが、肉筆美人画にも優品を残している。本図は、十二ヶ月の揃物に月々の季節感や行事を、各図に見事な背景として取り入れている。縦長の画面に数人の婦女子を巧みに描き込んだ構図の美しさは卓越している。松浦家旧蔵

江戸風俗図巻 菱川師宣

江戸風俗図巻 菱川師宣
江戸時代 17世紀

 本絵巻は、江戸の行楽地を背景に庶民風俗を描いたもので、御殿山の花見の宴、歌舞伎小屋中村座の木戸口と舞台、隅田川の堤、そして吉原遊廓が描かれている。人物を極彩色とし、他の風物を淡彩とした表現は効果を上げており、師宣の優れた感覚が発揮されている。

藤原敏行朝臣 鈴木春信

藤原敏行朝臣 鈴木春信
江戸時代 18世紀

 平安時代に選ばれた36人の歌聖「三十六歌仙」の和歌に原典を得て、その歌意を当時の風俗に見立てたシリーズには傑作が多い。本図もそのひとつで、女が秋の気配を入浴後の肌に感じる風情を描いており、藤原敏行の「秋きぬと目にはさやかに見へねとも 風の音にそ驚かれぬる」の歌意をあらわしている。

雛祭姉妹 奥村政信

雛祭姉妹 奥村政信
江戸時代 18世紀

 奥村政信は、初期浮世絵版画の丹絵から紅摺絵まで広く活躍し、色彩版画の華麗化に大きく貢献した。さらに本図のように、画中に俳句を摺り込むなど、画材を庶民により近いものにした。ここでは内裏雛や種々の調度を飾って遊ぶ美しい姉妹を和やかな風景が描かれており、版ずれがあるものの、紅摺絵の色調が美しい。宝暦年間(1751~64)、政信晩年の作に当る。

亀戸天神 鳥居清長

亀戸天神 鳥居清長
江戸時代 18世紀

 天明6年作とされる大判2枚続の左図である。亀戸天神は、江戸時代から藤の名所として知られ、その名物の太鼓橋に登ろうとする女性と前帯の女性の2人が描かれている。清長の盛時の特徴である伸びのある描線を用い、黒を主体とする配色で、当時流行の模様を細密描写し、色彩的に美しく描いている。

柳下腰掛美人図 宮川長春

柳下腰掛美人図 宮川長春
江戸時代 18世紀

 長春は、江戸中期の浮世絵師で、肉筆画に専念して版画は作らなかった。本図は、柳の下で洗髪をくしけずる女性の姿態美を流れるような描線で描き、赤を主とした着物に藍色の帯を配した色彩効果も巧みである。

納涼図 歌川豊広

納涼図 歌川豊広
江戸時代 18世紀

 豊広は歌川豊春を祖とする歌川派の絵師で、広重の師として知られている。本図は、川風に涼む若い男女が螢狩りを楽しむ納涼図である。若い男の動きのある姿態は写実的であり、薄物による淡い感じの女性美もまたよく表現している。