江戸の華 琳派展【終了しました】

2014年04月11日(金)~05月07日(水)

生活を彩り、現代にも生きる光琳デザインの華

  琳派は、狩野派や土佐派のような家系を中心としたものではなく、作風に対する共感等により、それぞれの作家に継承されました。
江戸初期の本阿弥光悦や俵屋宗達によって萌芽し、元禄頃、尾形光琳・乾山へと継承され、その100年程後、文化・文政期に光琳に傾倒した酒井抱一が、その芸術の再興を志しました。
 自然や文学に取材した琳派の装飾美は、絵画のみならず、陶器、漆工品、着物などにも表現され、江戸時代における上層階級の生活を彩りました。本展では、今なお私達の生活の中に生きつづける江戸期における装飾芸術の華、琳派の魅力に迫ります。

主な作品

琴高仙人図  尾形光琳

琴高仙人図  尾形光琳
江戸時代 18世紀

 琴高は中国の仙人で、ある日涿水に入って竜子をとらえると約し、約束の日に鯉に乗って水中より現れたといいます。琴高の顔や衣裳にみられる無駄のない静かな線描と、水波の筆勢の速い、動きのある描写とが見事に調和しています。

白梅図香包  尾形光琳 

白梅図香包  尾形光琳 
江戸時代18世紀

 光琳は、香木を収めるための絹地の包みに、草花や鶴などを描いた作品をいくつか残しています。この図もそうした中の一つで、光琳独特の、花弁の区分がない白梅の花をつけた梅樹が描かれています。香木を包む中央の四角には絵がかからないように工夫されています。

水葵蒔絵螺鈿硯箱  伝尾形光琳 

水葵蒔絵螺鈿硯箱  伝尾形光琳 
江戸時代18世紀

 総体黒漆塗とし、図柄は蓋と身では配置が異なるが、被せた場合に絵が連続するよう工夫されています。水葵の花に厚貝を貼り、葉には鮑貝、錫板、鉛板の3種類の材料を用い、流水は金の平蒔絵で描いています。材質を生かして装飾効果を上げる光琳蒔絵の特色が良く表れています。

絖地秋草模様描絵小袖  伝尾形光琳 

絖地秋草模様描絵小袖  伝尾形光琳 
江戸時代18世紀

 光琳の描いた小袖といえば、重要文化財に指定されている通称「冬木小袖」(東京国立博物館蔵)がよく知られていますが、この作品もそれと同じく、白綸子の上に菊や桔梗などの秋草を描いた作品で、光琳独特の意匠化された草花の表現を見ることができます。

銹絵染付梅花散文蓋物  尾形乾山 

銹絵染付梅花散文蓋物  尾形乾山 
江戸時代18世紀

 蓋表と身の側面の素地に、まず梅花形を抜いた型紙を用いて白泥で厚く文様を配し、さらに呉須と鉄絵具で、重なり合うように梅花を描き、その上に透明釉を厚くかけています。内面には、白化粧地に同じく梅花型紙を置いて呉須絵具を刷毛で塗り、白く型抜きして白梅を浮き立たせています。

鹿下絵新古今集和歌巻断簡  (書)本阿弥光悦(画)俵屋宗達 

鹿下絵新古今集和歌巻断簡  (書)本阿弥光悦(画)俵屋宗達 
桃山~江戸時代 17世紀

 様々な姿態や動作を見せる鹿の群像を俵屋宗達が金銀泥で描いた料紙に、本阿弥光悦が『新古今和歌集』の和歌28首を選んで書いた「鹿下絵和歌巻」の断簡です。宗達の下絵に見事に調和した光悦の装飾的な書風には、卓抜した斬新さがうかがえます。

伊勢物語 西の対図   伝俵屋宗達 

伊勢物語 西の対図   伝俵屋宗達 
江戸時代 17世紀

 伊勢物語の主人公とされる在原業平が、かつて想いをよせた貴婦人(二条后宮)の旧屋敷を訪ねた場面(西の対の段)で、人物像は、繊細な目鼻立ちの引目鈎鼻風に、建物や背景の山々は、金雲に溶け込むように描かれています。画面に表れるこうした夢幻的情感が、宗達筆といわれる彩色物語絵の特色です。

軍鶏図   伝俵屋宗達

軍鶏図   伝俵屋宗達
江戸時代 17世紀

 宗達水墨画は、ゆるやかな輪郭線と豊かな色感を暗示させる「たらし込み」の描法を多用して独特の画調を作り上げており、中でも動物や鳥を主題とした作品が多くみられます。この軍鶏は、対象の特徴を正しく把握した描写力と「たらし込み」技法が見事で、代表的な作品の一つといえます。

藤蓮楓図   酒井抱一 

藤蓮楓図   酒井抱一 
江戸時代 19世紀

 江戸時代琳派の草花図は、抱一に至って、装飾性の点で完成の域に達し、繊細、瀟洒な様式美が主となり、色彩の点でも「たらし込み」よりも色の平塗りによる華やかな効果を重視するようになります。蓮図に「倣空中斎之図」とあり、手本とした本阿弥光悦の孫、光甫の作品は、藤田美術館に現存しています。