(国宝) 手鑑「翰墨城」白氏文集切・春遊
手鑑「翰墨城」
手鑑「翰墨城」は、「藻塩草」(京都国立博物館蔵)「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに、古筆三大手鑑の一つとして夙に名高い。手鑑の中でも早い時期に成立したと考えられ、鑑定の基本台帳として古筆家別家の古筆了仲(1655~1736)に所伝し、のちに益田鈍翁(1847~1938)が旧蔵した。「翰墨城」の名は、翰(筆)と墨によって築かれた城という意味で、まさに名筆の宝庫に相応しい名称といえよう。奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆切が、表側154葉、裏側157葉の合計311葉が押されている。
・春遊
中国・唐の詩人、白楽天の詩集『白氏文集』を書写したものの断簡で、巻第63の詩題「春遊」の部分である。この6行分と田中親美旧蔵の2行分で「春遊」の詩が完結する。もとは巻子本で、「春遊」の前にあたる「詠史」、「因夢有悟」が、やはり断簡として現存している。平安時代の男性貴族の教養として漢詩文が愛誦されたが、『白氏文集』は、その代表的作品であり、また多くの能書家にも好んで書写された。古筆鑑定家、古筆了仲により、この断簡の筆者は藤原行成(972~1027)であると極められており、行成自筆の『白氏詩巻』(東京国立博物館蔵)や消息と同筆であるところから、行成自筆の一葉とされている。藤原行成は、平安時代の三跡の一人で、流麗な和様の書風をつくりだした。この断簡に見られる平明で端正な書風の展開には、平安時代ならではの優雅な趣きがあり、古筆中屈指の優品といえる。
春遊 六十三
上馬臨出門々々復巡逡廻頭問妻子
応怪春遊頻誠知春遊頻其奈老
夫身朱顔去復去白髪新又新請
君屈十指為我数交親大限言百
歳幾人及七旬我今六十五走如下
詳細情報
| 作 者 | 時 代 | サイズ |
|---|---|---|
| 藤原行成 | 平安時代 11世紀初期 | 28.5×17.5 |
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