鷺図

データ

作者 梁楷
時代 中国・南宋時代(13世紀)
素材・技法 絹本墨画 一幅
サイズ 横径 24.9㎝

解説

梁楷の画風には画院風の細密なものと、簡略で写意的な減筆体のものとがある。彼の絵画の意義を絵画史的に見ると、型にはまって、平面的となった南宋院体画に、禅思想に根ざした自然観によって新内容を付与した点にある。この図では、得意の減筆法を駆使した筆致で描かれた岩と水面が、左下半に美しい墨の諧調を見せている。鋭く横に引かれた葦を挟んで二羽の鷺が描かれ、一羽は水中に、一羽は飛翔しながら餌をねらう緊張感がよく表されている。左辺の岩の中に「梁楷」の落款がある。長谷川等伯の(はせがわとうはく)『等伯画説』によれば「梁楷カ鷺ノ絵トテ堺ニ有之イカニモ少キ鷺也。蜘ホト也ト云ヘリ」とあり、この図がそれにあたると考えられている。また、津田宗及 (つだそうきゅう)の『宗達他会記』によれば、永禄四年(一五六一)九月二十三日朝の宗好会の茶会に、「一床 丸絵鷺 二ツ左 チヤクシキタツ絵也」との記載があり、本図を指すものと思われる。

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