重要文化財
過去現在絵因果経断簡
データ
時代 | 奈良時代(8世紀) |
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素材・技法 | 紙本著色 一巻 |
サイズ | 26.7×全長 154.5㎝ |
解説
『過去現在因果経』は、釈迦の前世の物語と生涯を内容とした四巻からなる経典であるが、その経文の上に内容を絵解きしたものを絵因果経と呼び、八巻よりなる。この断簡は益田家旧蔵本の分かれで、「絵因果経」巻第四の一部、四紙八十四行、「初転法輪 (しょてんほうりん)」より「度三迦葉(さんかしょうをどす)」までのおよそ八段にあたる。 絵因果経は、奈良時代天平年間中期頃(八世紀中期)に、祖本が中国からもたらされ、幾種類か書写制作されたと考えられる。衣裳表現や、樹木・岩山などによって場面を区切る構成法などは、中国六朝時代の画風をしのばせるが、人物描写に見られる丁寧な描調などには日本画家の感受性が窺われる。