関戸本和漢朗詠集切

データ

作者 伝 藤原行成
時代 平安時代(11世紀中期)
素材・技法 彩箋墨書 一幅
サイズ 26.8×28.9㎝

解説

『和漢朗詠集』は、平安中期に藤原公任(きんとう)(966~1041)により撰せられた。朗詠のためだけでなく、詠作の軌範として広く流布し、書道の手本としても、能書家の手になる名品が多く伝存している。この断簡は、白と薄藍など数種の染紙を継ぎ合わせた上下二巻の『関戸本和漢朗詠集』の断簡で、もとは巻子本であった。その上下二巻の残巻が、現在、名古屋の関戸家に所蔵されているが、かなり切り取られて、切(きれ)として諸家に散在している。切の名は、所蔵者にちなんでのものであり、この断簡もそのうちの一葉。『和漢朗詠集』の上巻の部分で、白と薄藍の染紙の継ぎ合わせが見られる。筆者は、藤原行成と伝えられるが、行成自筆のものとは別筆であり、今日では、高野切(第二種)、平等院鳳凰堂扉の色紙形と同筆と考えられていることから、源兼行筆と推定されている。  鴈
万里人南去三春鴈北飛不知何歳月得
与汝同帰
尋陽江色潮添満彭蠡秋聲鴈引来 劉禹錫
四五朶山粧雨色両三行鴈点雲秋 杜荀鶴
虚弓難避未抛疑於上弦之月懸奔箭
易迷猶成誤於下流之水急 江相公
碧玉装箏斜立柱青苔色紙数行書 管
雲衣范叔羈中贈風櫓瀟湘浪上舟 秋鴈似故人後中書王
あきかせにはつかりかねそきこゆなるた
かたまつさをかけてきつらむ 友則
山腰帰鴈斜牽帯水面新虹未展巾 在中
はるかすみたつをみすてゝゆくかりはゝな
なきさとにすみやならへる いせ

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