重要文化財
黒釉金彩瑞花文碗
データ
作者 | 定窯 |
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時代 | 中国・北宋時代(11~12世紀) |
素材・技法 | |
サイズ | 一口 口径19.1㎝ 高5.6㎝ 高台径4.6㎝ |
解説
いかにも北宋期の焼きものらしい厳しい形の碗である。鋭い縁は刃のように尖り、小さい高台が形を引き締めている。素地は純白の磁質だが、ざんぐりとしていて、これにかけた漆黒の釉薬がぴかぴかと輝き、垂れて高台にまで流れている。碗の内面にはもともと金彩で瑞花文を描いてあったが、現在は大部分が剥落し、ほんのわずかに金が残っているのみである。しかし光線をあてて光る部分を丹念に見ると、束ねた蓮の花と葉一束ずつを主文様として相対する二ヵ所に描き、その間に二葉ずつの唐草風の文様があったことが、はっきりと金彩の跡として確かめることができる。深々とした黒釉に深い神秘がたたえられており、中国陶磁の黄金時代とされている北宋末の名作といえる。この碗は現在の北朝鮮の黄海道から出土したものと伝えられている。