瀬戸肩衝茶入 渋紙手 銘 山桜 中興名物
データ
時代 | 桃山時代(16世紀) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一口 高8.8㎝ 口径3.3㎝ 胴径6.8㎝ 底径5.1㎝ |
解説
この茶入は、鉄釉が素地の赤色と融和して渋紙のような色調に見えるので、俗に渋紙手と呼んでいる。その釉薬の焼き上がりが、華やかなうちにも侘びた感じであるところから、山桜の銘がつけられたと伝えられている。素地は卵殻色のざんぐりとした土で、山土をそのまま使ったのであろう、大小さまざまの砂を噛(か)み、作りは厚く重々しい感じがする。広い口で、口縁のひねり返しは浅い。廂肩(ひさしかた)で、肩先より裾までしだいに張り、胴に縦に三筋、箆(へら)をあてて景色としている。総体に渋紙色に釉薬がかかり、半面は光沢があり、半面は釉かせがある。裾以下は赤みを帯びた素地を見せ、底回りは箆で面取りをしている。底は糸切りが粗く残り、一部の土はほつれ、平面のところもある。小堀遠州が名物とした、いわゆる「中興名物」で、もとは三井家、その後大阪の藤田家に伝わり、藤田彦三郎氏所蔵の頃『大正名器鑑』に記載された。