色絵蔓花文銚子 伊万里 古九谷様式
データ
時代 | 江戸時代(17世紀) |
---|---|
素材・技法 | |
サイズ | 一口 総高13.6㎝ 長20.5㎝ 胴径16.0㎝ 口径8.0㎝ 底径9.5㎝ |
解説
注ぎ口が長く直線的に突き出し、肩が面取りされているなど、作行きに強い調子があるが、これらは、もともと銚子が鉄製であったところからきたものであろう。今では徳利が多く用いられ、銚子を酒注ぎに用いることは少ないが、焼きものの銚子は桃山・江戸期から作られている。古九谷の銚子はきわめて少なく、古来、茶人の間で高く評価されてきた。古九谷としては素地が白いほうで、広い口を覆う落とし蓋の表と胴には朝顔風の蔓花文を表し、注ぎ口の付け根には南京赤絵風の鋸歯文(きよしもん)をめぐらしている。弓なりにつけた把手にも瓔珞(ようらく)風の文様を施しているのが丁寧である。一方、把手の付け根から注ぎ口の付け根に沿って山きずを覆うためであろうか、そこに櫛目文を表しているのが、やはり最初の構図にはない余分なものに見える。底は足をつけず、高台内を深く削り込んでいる。赤と緑の色調が濃く、雅味のある作行きが好ましい。