重要文化財

散蓮華蒔絵経箱

データ

時代 鎌倉時代(13世紀)
素材・技法
サイズ 一合 縦35.6㎝ 横22.3㎝ 総高13.0㎝

解説

経典をまとめて納める箱で、長方形・角丸の二段重ねになっている。わずかに甲盛りと胴張りが見られる。金銅製の置口(おきぐち)を、蓋、上段の口縁と底、下段の口縁にめぐらす。下段の側面には紐金具の痕跡がある。布着せをし、総体に黒漆を塗り、蓋表・側面・内部に金粉を蒔いて梨地を作り、その上に散蓮華の文様を表している。蒔絵はすべて、漆を上に塗った後木炭で研ぎ出す研出(とぎだし)蒔絵の技法で表し、花脈の線を描き割りで表している。蓮弁の散らし方は、各面とも非常に規則的で、蓋表は中央部に四弁を一グループとして配し、これを中心に三弁のものと一弁のものが上下・左右ほぼ対称になるように配されている。蓋鬘(ふたかずら)の文様も左右と前後がほぼ相対する配置になっている。また、蓋裏や上段と下段の見込みは、蓋表に比べてやや疎らに配したり、蓮弁の一部によじれたものを交えたり、花脈に鋸歯(きよし)の線を用いたり、適度に変化を加えながら描いている。総体に形式化した図様構成で、鎌倉時代の様式が顕著な経箱である。藤田家伝来。

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