き鳳蝉文鼎
データ
時代 | 中国・商時代(前13~前11世紀) |
---|---|
素材・技法 | 青銅造 一口 |
サイズ | 高22.0㎝ 口径17.7㎝ |
解説
鼎とは、祖先神に供するための獣肉を煮たり穀類を調理する器である。底には火にかけるための三本の脚がつき、口縁に棒を通して運ぶための一対の耳がある。これが鼎の定型で、箱形の胴に四本の脚をつけた「方鼎」に対して「円鼎」と呼ばれることもある。 胴腹が丸く、頸が強くくびれた本図の器も、小型ながら円鼎の要件を揃えた精作である。頸の部分には、四本の突稜の間に古式な〓鳳文が表され、地に細かい雷文が整然と鋳出されている。〓とは「もののけ」を意味し、一本足で鶏冠(とさか)、曲がった嘴(くちばし)、翼、蹴爪をもつ怪鳥を〓鳳と呼んでいる。〓鳳文は時代によって変遷があるが、商(殷)時代末から周時代初めにかけてのものが最も基本的である。胴の曲面には、蝉文様が十六個鋳出されており、太い円柱状の脚にも一種の蝉文とみられる沈線文がある。古代中国では蝉を再生する生命力の象徴とみていたのである。