重要美術品
飛禽狻猊鏡
データ
時代 | 中国・隋時代(6世紀) |
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素材・技法 | 白銅造 一面 |
サイズ | 径26.8㎝ |
解説
完好な無文の鈕の周囲に十六弁の花形座をめぐらし、中ほどに際立って高い突帯を設け、文様を内区と外区に分けている。突帯のすぐ外側に銘帯を設け、次のように記している。
有玉辞夏 惟金去秦 倶随革故 共集鼎新 儀天写質
象日開輪 率舞鸞鳳 奔走鬼神 長懸仁寿 天子万春
この文学的な銘文の中に長懸仁寿の句があることおよび、高い突帯のあることから、この鏡が隋鏡としての特色を備えた鏡であることがわかる。鏡背の全面を華麗かつ巧緻さをきわめた文様で埋め尽くしているが、その構成、技法ともに間然するところなく見事である。内区には疾駆する八頭の獅子を二頭ずつ相対せしめ、その間には山岳を置き雲文を散らす。自由奔放な獅子の姿態は躍動している。外区は三葉の忍冬文風の花枝によって六区に分かち、禽(鳥)獣を交互に一対ずつ三組鋳出しているが、それぞれ姿態を異にしていて、鴛鴦が静態であるほかはすべて動的に表している。外縁は忍冬風の唐草文で飾る。縁と外区、突帯と内区との境は傾斜をなすが、そこに鋸歯文などを鋳出して巧緻をきわめる。