展覧会
千宗屋キュレーション 茶の湯の美ーコレクション選ー
2017.10.27(金) - 2017.12.10(日)
リニューアルオープン記念特別企画
概要
12世紀に中国より日本に伝えられ禅林に広まった喫茶の風習は、室町時代になると、中国より舶来した唐物を愛好する茶として権威者たちの間に流行しました。15世紀末には、珠光が草庵の侘び茶を唱え、その茶風は堺の豪商武野紹鴎により町衆らに浸透し、千利休によって大成されます。茶人らは、伝統を継承する一方、自己の美意識にかなった新しい道具を創造し、建築、造園、料理、生け花など幅広い分野に影響を与えながら総合芸術としての茶の湯を生み出し、日本を象徴する文化へと昇華してきました。
本展は、古美術から現代アートに至るまで造詣が深く、現代の茶の湯を追求する武者小路千家家元後嗣千宗屋氏をゲストキュレーターに迎え、MOA美術館の茶道具コレクションを厳選して取り合わせ、茶の湯の魅力に迫るものです。世界的に活躍する現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主宰する新素材研究所によって設計された日本の伝統的な素材を用いた展示ケースに、千宗屋氏によって茶室のしつらえのごとく繰り広げられる茶道具の美をお楽しみください。
今回の展観は、展示室のみならず「黄金の茶室」での特別陳列、茶の庭での点心と喫茶、ミュージアムショップの特選茶の湯グッズ、そして、千宗屋氏による講演会と茶席など、美術館全体を活用し茶の湯の世界を体感できるよう紹介します。この機会に是非ご鑑賞ください。
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◆みどころ◆
1 大広間風の空間での唐物茶道具の展示
畳十畳敷、聚楽壁の大広間を連想する露出展示空間に、室町将軍家が収集した唐物絵画の名作、牧谿作と伝えられる「蓮に鶺鴒・葦に翡翠」の二幅対と唐物皆具・台子を展示し、室町将軍家を中心に流行した唐物を重用した茶の湯の世界を展観します。
2 茶の湯の名碗
茶の湯の中で最も身近な茶道具である茶碗に焦点を当て、茶の湯の美意識の変遷とともに受容されてきた唐物天目、高麗茶碗、和物茶碗の名碗を、それらと取り合わせて賞翫された掛け物を紹介します。
3 国宝「色絵藤花文茶壺」と口切の茶事
このたびのリニューアルによって黒漆喰で塗り込められた特別室に展示されたMOA美術館の代表作 野々村仁清作国宝「色絵藤花文茶壺」は、口切の茶事に用いられる茶壺の形状を模し、飾り茶壺として制作されたものです。
口切は、茶人が一年で最も重きをおく炉開きにおいて行われる茶事で、新茶を詰めて寝かせておいた茶壺の封を切り、石臼で挽き立ての濃茶をいただくものです。
本展では、国宝「色絵藤花文茶壺」を中心に、口切の茶事に用いられる茶の湯の道具を展観すると共に、本展のために千宗屋氏が監修した口切茶事の映像を紹介します。
4 茶人たちの好みと茶道具
侘び茶の大成者千利休をはじめ、古田織部、小堀遠州、千宗旦と四天王などの茶人たちが愛玩した茶道具や好みの茶道具を通してそれぞれの美意識に迫ります。さらに、来年歿後200年となる松江藩主・松平不昧公ゆかりの茶道具も展示します。