展覧会

広重「東海道五十三次」Digital Remix

2024.05.24(金) - 2024.07.01(月)

概要

デジタル・リミックスシリーズ第2弾として、歌川広重(1797~1858)による保永堂版「東海道五十三次」をとりあげます。本シリーズには、江戸日本橋から京都に至る旅の情景が、四季や天候、時刻の変化など自然の移り変わりと共に描かれています。江戸時代後期の旅行ブームを背景に大人気を博し、広重の出世作となった作品です。
この度の展覧会では、全55作品の展観とともに、高精細デジタル画像で撮影した「東海道五十三次」を、当館スタッフの技術により、オリジナル・フィルム・プロジェクションとして、再構成(リミックス)します。急な夕立に急ぐ人々を描いた「庄野 白雨」や、深々と雪が降る静寂な情景を描いた「蒲原 夜之雪」など作品の世界に没入する臨場感をご提供します。また、東海道の宿駅の現在の風景を撮影・比較展示し、現代の東海道の旅もご紹介します。 江戸庶民の旅への憧れをかきたて、現代においても多くの人々に愛好される本シリーズを、デジタル・リミックスによる新感覚でお楽しみください。
 

由井 薩埵峠

由井 現在の風景

みどころ

 
1.全55図一挙展観! 
江戸日本橋から京都にいたる東海道が宿駅ごとに描かれた全55図を一挙展観します。場面ごとに時間や天候、季節が移り変わる情景をお楽しみください。

2.作品の世界に没入する
高精細映像の投影 「東海道五十三次」を1億5千万画素の高精細画像として撮影したデジタル素材を活用し、大画面プロジェクションとしてリミックスします。

3.現在の風景 広重の旅を追体験する
江戸時代当時に作品が描かれた場所を独自に取材し、映像や画像で比較展示します。普遍的な自然の雄大さや、ビルや建造物が立ち並び変化した現在の風景など当館独自の東海道としてリミックスします。

日本橋 朝之景

日本橋 現在の風景

平塚 縄手道

平塚 現在の風景

箱根 湖水図

箱根 現在の風景

三島 朝霧

三島 現在の風景

京師 三条大橋

京都 現在の風景

 

 東海道五十三次(保永堂版)について

歌川広重の「東海道五十三次」(保永堂版)は、天保4年(1833)頃、版元竹内孫八(保永堂)と鶴屋喜右衛門(僊鶴堂)から共同出版され、のちに保永堂の単独出版となった大判55 枚の揃いものです。本シリーズでは日本橋から京師(京都)にいたる東海道の各宿を街道の風物や旅人の様子とともに描いています。四季の移ろいや晴、雨、雪、霧、風等の天気、時刻の変化等を巧みに画面に取り入れ、臨場感をもって季節感や旅情を表して、江戸庶民の旅への憧れをかきたてました。また人物描写に優れ、ユーモラスな表情や動きを表すとともに、一人ひとりの心情さえも生き生きと描いています。保永堂版の成功によって、広重は浮世絵風景版画の第一人者となり、その後は「行書版」、「隷書版」、「五十三次名所図会」等、20 種をこえる東海道に関する作品が刊行されました。
 
 

歌川広重について 

歌川広重(1797〜1858)は、江戸定火消同心・安藤源右衛門の子として生まれました。13歳の時に両親と相次いで死別し、家職を継ぎましたが、15歳の頃、浮世絵師・歌川豊広(1774〜1830)に入門して広重の号を得ました。はじめ役者絵や美人画をてがけましたが、天保2 年(1831)頃、斬新な色調の「東都名所」シリーズを発表して風景画に開眼し、その後保永堂から刊行された「東海道五十三次」で成功をおさめました。抒情性に富んだ画風で活躍し、一大シリーズ「名所江戸百景」等、数多くの風景版画を世に出しました。
 
 

主な展示作品

 

日本橋 朝之景

日本橋 朝之景

蒲原 夜之雪

蒲原 夜之雪

 

庄野 白雨

庄野 白雨

箱根 湖水圖

箱根 湖水圖

 

三島 朝霧

三島 朝霧

蒲原 夜之雪

亀山 雪晴