展覧会

開催中

Gold 明治の蒔絵 with 井上涼

2024.09.13(金) - 2024.10.28(月)

概要

蒔絵は、漆で模様を描き、金粉や銀粉を蒔きつけて装飾を施す漆工芸の技法で、奈良時代から現代に至るまで長きにわたって愛好されてきました。中でも明治期には、新政府が進める殖産興業の一環である内国勧業博覧会の開催を契機として、優れた蒔絵の作品が発表されました。
本展では明治期以降に活躍した小川松民、川之辺一朝、白山松哉、赤塚自得、植松包美らの煌びやかな蒔絵の優品を展観すると共に、蓋裏など作品内部の蒔絵も映像化してご紹介します。細部に至るまで美を追求した蒔絵の魅力をお楽しみください。

みどころ 


1 小川松民の珍しい新収蔵品を初公開!

2 普段は見れない作品内部の蒔絵を映像で紹介! 

3 蒔絵を題材に制作された井上涼『忍者とゴールド・マキエ』を上映! 

主な展示作品

「海辺蒔絵文台・硯箱」川之辺一朝  明治時代19世紀
文台と硯箱が一具をなす伝統的な形式の作品です。海浜の小家や松、そして満開の桜樹を様々な蒔絵の技法で表現しています。
硯の下に「帝室技芸員 正六位 川之辺一朝」と金蒔絵銘があります。

「海辺蒔絵文台・硯箱」 (硯箱見込・蓋裏) 

「手箱蒔絵硯箱」 小川松民  明治時代 19世紀
方形、面取の被蓋造で、蓋表に籬(まがき)の中に咲く菊と、小鳥、土坡(どは)などを描いた手箱を配した硯箱です。
蓋表の手箱は高蒔絵に螺鈿や切金で表し、内側は梨地に研出蒔絵で籬菊と小鳥を表現しています。

「手箱蒔絵硯箱」 (見込・蓋裏)

「會席椀盛 うちまき絵 」 のうち、国宝籬菊螺鈿蒔絵硯箱(鶴岡八幡宮蔵)の写し 小川松民 明治17年(1884)

「蒔絵八角菓子器」 白山松哉 作 明治44年(1911)
八角形、五段重ねの菓子器。蓋表は螺鈿で花唐草文様を表しています。
側面は、各段で技法を変え、青貝や平目粉を蒔き分けたり、切金と色漆で幾何学文様を表しています。
いずれも非常に精細で、蒔絵の手板見本ともいえます。

「蝶牡丹蒔絵沈箱」 白山松哉 作 明治時代 19世紀)
この沈箱は、沈香を納めて床に飾るもので、刳形の四足を蓋に付した極めて装飾的な構造です。
器表全体を金沃懸地とし、牡丹唐草と蝶を、金の平蒔絵に付描、針描、描割で表しています。

「蜀江錦蒔絵料紙硯箱」 植松包美 作 大正13年(1924)
包美は、明治の名工・植松包民の子として生まれ、蒔絵を父に習い、図案を岸光景に学びます。
この料紙硯箱は、包美の代表作で、器表を金地に仕立て、蜀江錦の織紋様を金平蒔絵と描割で精巧に表しています。

「蜀江錦蒔絵料紙硯箱」 (硯箱見込・蓋裏)

「撫子蒔絵螺鈿手許箪笥」 MOA美術館
器表を黒無地とし、扉裏に垣根と撫子を表しています。
『源氏物語』常夏の帖の「(なでしこの とこなつかしきいろをみば)もとのかきねを 人やたつねむ」を意匠化したもので、
上句を図柄で表し、下句を銀の金貝で表しています。

「柳橋蒔絵棚」  七代西村彦兵衛 MOA美術館

「忍者とゴールド・マキエ」  井上涼 

井上涼
アーティスト。作詞、作曲、アニメ、歌を自身が手がける。2013年よりNHK Eテレ「びじゅチューン!」に出演。
主な展覧会に「トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館」(東京国立博物館 2018年)など。
MOA 美術館 では2019年、 2020年、2022年に特別展を開催。本展では「忍者とゴールド・マキエ」を上映する。