展覧会

名品展 国宝「紅白梅図屏風」

2020.01.24(金) - 2020.03.17(火)

概要

名品展 国宝「紅白梅図屏風」(Youtube)

 

MOA 美術館のコレクションは、創立者・岡田茂吉(1882 ~ 1955)が蒐集した日本・中国をはじめとする東洋美術を中心に構成されています。なかでも国宝「紅白梅図屏風」は、二曲一双の金地を背景に白梅と紅梅を対峙させ、図案化した梅花や水流を配し装飾的な画面をつくりあげ、江戸中期の絵師・尾形光琳(1658 ~ 1716)の最高傑作と評されています。本展では、「紅白梅図屏風」をはじめ京焼の大成者・野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」、三大手鑑の一つと して著名な手鑑「翰墨城」の国宝 3 件の同時公開に加え「樹下美人図」「過去現在絵因果経断簡」、「山水 人物蒔絵手箱」、「青磁大壺」などコレクションの各ジャンルを代表する名品を精選し展観します。梅花の香る熱海で日本・東洋美術の精華をゆっくりとご鑑賞ください。

 


国宝 紅白梅図屏風 尾形光琳 江戸時代

 光琳が宗達に私淑し、その画蹟に啓発されながら独自の画風を築き上げたことはよく知られている。水流を伴う紅梅・白梅の画題や二曲一双の左隻右隻に画材をおさめる構成のやり方がそれである。
 しかし白梅の樹幹の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面一杯に描いて左右対照の妙をみせ、中央に水流をおいて末広がりの微妙な曲面をつくり上げた構図は、光琳の独創といえよう。のちに光琳梅として愛好される花弁を線描きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられる「たらし込み」、更に他に類をみない水紋など、こうした優れた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と装飾性を与えている。本屏風が、光琳画業の集大成であるといわれる所以であろう。
 向かって右隻に「青々光琳」、左隻に「法橋光琳」と落款があり、それぞれ「方祝」の朱文円印が捺されている。津軽家伝来。

 


国宝 手鑑「翰墨城」 奈良〜室町時代

手鑑「翰墨城」は、「藻塩草」(京都国立博物館蔵)「見ぬ世の友」(出光美術館蔵)とともに、古筆三大手鑑の一つとして名高い。「翰墨城」の名は、翰(筆)と墨によって築かれた城という意味で、まさに名筆の宝庫にふさわしい名称といえる。奈良時代から南北朝・室町時代の各時代にわたる古筆切が、311葉収められている。古筆家に伝来し、後に益田家が旧蔵。

 


国宝 色絵藤花文茶壺 野々村仁清 江戸時代

 京焼色絵陶器の大成者、仁清の数々の遺作中、この茶壺は最高の名作として名高い。艶麗優美な、装飾性豊かな作行で、京風文化の象徴ともいえる。温かみのある白釉の上に、巧みな構図で藤の花が、赤や緑、紫、金、銀などで描かれている。轆轤の名手として知られる仁清が薄く均等に挽き上げた端正な姿で、文様と器形が優れた調和を見せ、底裏に「仁清」大印が捺されている。丸亀藩主(香川県)京極家伝来。

 


重文 過去現在絵因果経断簡 奈良時代

 過去現在因果経の、釈迦の前世の物語と生涯を内容とした4巻からなる経典である。本断簡は、巻第4の一部で4紙84行、「初転法輪」より「度三迦葉」までの約8段に当る。奈良時代における貴重な作例である。

 


重文 聖観音菩薩立像 奈良時代

 宝冠に化仏(如来坐像)を頂く細身で童顔の小金銅仏像で、右手は宝珠を捧げ、左手は天衣の端をとる。やや反り身にした像身の造形に、重厚な装飾や太い瓔珞が体躯を装飾している。像全体の穏やかな相好や天衣の表現などは、隋時代の特徴をみせ、宝珠形をした光背には、小七仏を配した唐草模様が美しく透かし彫りされている。

 


重文 山水人物蒔絵手箱 鎌倉時代

 鎌倉時代には、絵画的表現に写実性と立体感を高めるための蒔絵技法が極めて発達した。この手箱では筏流し、鵜飼舟や蛇籠、山水の景色などを、多様な蒔絵技法を駆使して表し、人々の営みを生き生きと表現している。

 


青磁大壺 郊壇官窯 中国・南宋時代

 窯の名称は、郊壇(皇帝が天を祭る壇)のある烏亀山麓にあったことに由来する。素地に鉄分が多いため、深い神秘的な釉色を呈し、細かい貫入のあるのが特色である。豊かな格調ある姿のこの大壺は、特に名品として名高い。

 


重文 樹下美人図 中国・唐時代

 明治末年に、西本願寺法主大谷光瑞師派遣の中央アジア探検隊によって将来されたものである。トゥルファン付近のカラホージョ古墳から出土したと伝えられ、現在東京国立博物館所蔵の樹下男子図とともに一具をなす。女性の衣裳、髪型やかんざしの挿し方、さらに化粧法などは8世紀盛唐期の風俗を反映し、当代の紙本絵画の遺品が現存するのは極めて貴重である。