重要美術品

色絵桜楓文鉢

仁阿弥道八

作品情報

データ

作者 仁阿弥道八
時代 江戸時代(19世紀)
素材・技法
サイズ 一口 高9.1㎝ 口径22.5㎝  高台径9.0㎝

解説

仁阿弥道八(1783~1855)は、天明3年京都粟田口の陶工高橋道八の次男として生まれ、二代道八を継ぐが、仏門に帰依して仁阿弥を称した。陶技を奥田穎川(えいせん)に学び、仁清・乾山などに範を求めて琳派風の意匠に新境地を開いた幕末の名工として知られている。この鉢は道八が最も得意とした乾山写しの鉢で、桜と楓をあしらったこの意匠を雲錦手(うんきんで)と称している。口造りを輪花風にして動きを出し、口縁をやや外反りぎみにした広い口の鉢で、素地はざんぐりとしていてわずかに鉄分を含んでいる。釉肌を鼠色に焼き上げた上に、桜と楓を内外に表したもので、樹幹や枝は銹絵風に描いて金彩を加え、桜花は点描風に、楓は平面的に、白・赤・緑青を用いて描いており、両者の対照の妙が発揮されている。楓の緑青は緑葉を表したものであろうが、この緑青の使い方がいかにも優れていて、名工二代道八の面目を見る思いがする。見込みや外側にも、ところどころほのかに赤い大小の窯変が出ており、総体に陶器独特の質感がある。見込みに七個の目跡(めあと)があり、その上に赤絵具をさしているのも、道八の心遣いであろう。高台内左側に「道八」の印を捺している。