重要文化財
浄瑠璃物語絵巻
データ
作者 | 伝 岩佐又兵衛勝以 |
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時代 | 江戸時代(17世紀) |
素材・技法 | 紙本著色 十二巻 |
サイズ | 33.9×全長 12943.0㎝ |
解説
又兵衛筆とされる絵巻群中、最も色彩の華麗な作である。物語は義経説話の一つで、奥州へ下る牛若と三河矢矧(やはぎ)の長者の娘浄瑠璃との恋愛譚を中心に、、中世末期には浄瑠璃節として、盲目の法師によって盛んに語られていた。近世に入って、慶長(1596~1615)の頃には操 (あやつり)人形と結びついて熱狂的な人気を博した。この絵巻は、その芸能としての浄瑠璃の魅力を、驚くべき濃密精細な装飾手法によって、絵巻物の世界に、より生々しく、眩惑的に再現したものである。『浄瑠璃物語』十二段の正本(テキスト)そのままを用いた詞により、牛若の衣裳模様や女房たちの局の襖の画題、浄瑠璃姫の寝室の調度、二人が交わす大和言葉の逐一まで、綿々と語られており、それらの場面が、金箔・金銀泥(きんぎんでい)・緑青(りょくしょう)・群青(ぐんじょう)・朱など各種の高価な顔料を惜しげもなく使い、艶麗な色調で描かれている。特に衣裳の模様の細かさは顕微鏡的な精密さである。画中の人物描写が又兵衛風といわれる豊頬長頤(ほうきょうちょうい)の特徴をもつなど、本巻も又兵衛を棟梁とした工房作と見るのが妥当であろう。津山藩松平家伝来。