重要文化財
色絵桃花文皿 鍋島
データ
時代 | 江戸時代(17世紀末~18世紀初期) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一口 高8.2㎝ 径31.5㎝ 高台径15.1㎝ |
解説
鍋島藩の直営になる鍋島焼は、わが国の諸窯の中でも最も精巧な磁器を生産し、今日なお声価が高い。なかでも本図のような桃花の図柄を扱った大皿は、色絵鍋島の精緻な技巧を遺憾なく発揮した名作として古来名高い。一般に尺皿といわれる大皿で、やや深い立ち上がりをもつ正円の皿に、高い高台がつき、透明性の白釉がかかっている。釉下に染付で、葉をつけた桃の実三個と、花をつけた桃の樹を描き、地に淡い呉須(ごす)を施している。桃の花と葉をつけた桃の実は、赤・黄・緑などの上絵付けで彩られている。桃の実は、染付の線描の上をなぞって赤で縁取りし、薄く染濃(そめだ)みをして陰影をつけ、左右の二個にはさらに赤で細かい点描を無数に打っている。皿の縁を白くくっきりと残しているのも鍋島らしい配慮で、裏面には三輪の花をもつ牡丹の折枝文を伸びやかに三方に配し、畳付(たたみつき)にかけてややすぼまった高台側面には七宝繋ぎ文をめぐらしている。