重要文化財

樹下美人図

データ

時代 中国・唐時代(8世紀)
素材・技法 紙本著色 額装 一面
サイズ 139.1×53.3㎝

解説

大正三年に、西本願寺門主大谷光瑞師 (おおたにこうずい)派遣の中央アジア探検隊によって請来されたもので、東トルキスタン、現在の新疆 (しんきょう)ウイグル自治区トゥルファンの喀喇和綽(カラホージヨ)古墳から出土した。現在、東京国立博物館に所蔵されている樹下男子図と対をなすと伝えられる紙本の作品である。盛唐期の特徴を示す豊満な婦人が樹木を背にして立ち、右手を胸に当て、左手で領巾 (れいきん)の端をとっている。茶色の枠取りに樹下人物と石とを配する構図は、近年中国で発掘される唐代墳墓壁画にしばしば見られ、正倉院の「鳥毛立女図屏風 (とりげりゅうじょずびょうぶ)」の源流を知る上できわめて重要である。色彩の施し方や描線は、素朴かつ自由で、唐朝からの影響を受けた当時のトゥルファン地域の画風を伝えている。裏張りに開元四年(七一六)の戸籍帳の古紙が用いられていることから、八世紀前半の作と考えられる。

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