重要文化財
楼閣山水図屏風
データ
作者 | 海北友松 |
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時代 | 桃山時代(17世紀初期) |
素材・技法 | 紙本墨画金彩 六曲一双 |
サイズ | 各 115.4×357.0㎝ |
解説
本図の両隻には友松自筆の款記があり、知友の一人である亀井武蔵守茲矩(これのり)のために揮毫・進上したものであることがわかる。款記によれば、向かって右隻に「高亭の麻柳蓬舟」を、左隻に「古寺の廊門緑樹」を描いている。筆数を抑えて余白を生かす、減筆体の草体山水図で、全体には淡墨を基調としながらも、濃墨による楼閣や樹木で画面を引き締めている。墨調の変化によって画面の効果を図る描法は、建仁寺本坊の「山水図」よりさらに進んだ様式を示していると考えられ、友松山水画における、草体山水の完成作と見られている。左右両隻の下隅には、「友松(花押)」と「友松筆」の款記があり、各々に「友松」の朱文方印が一顆ずつ捺されており、殊に左隻款記に見られる花押は他に類例がなく貴重である。
(款記)
是古寺之廊門緑樹図依御好染玄墨者也
進上亀井武蔵守様(左隻)
惟高亭之麻柳蓬舟承御望穢白楮者也
晋奉亀井武蔵守様(右隻)