藤蓮楓図

データ

作者 酒井抱一
時代 江戸時代(19世紀)
素材・技法 絹本著色 三幅対
サイズ 各 110.3×3534.3㎝

解説

酒井抱一に至って、江戸琳派の草花図は、装飾性の点で完成の域に達している。抱一が私淑した光琳画に見られる画面の重厚な構成力は影をひそめ、繊細・瀟洒(しょうしゃ)な様式美が主となり、色彩の点でも、たらし込みよりも色の平塗りによる華やかな効果を重視するようになる。この図は縦長の画面に、季節感に富んだ藤・蓮・楓を描いた三幅対で、構図・彩色ともに、ほどよいまとまりを見せ、繊細な情感と洒脱な趣きがある。なお、中幅の蓮図の落款に「倣空中斎之図」とあることや自筆の箱書から、本阿弥光悦の孫、空中斎光甫(くうちゅうさいこうほ)の「藤・蓮・楓」三幅対(藤田美術館蔵)を図様・筆法ならびに彩色法に至るまで忠実に写したものであることがわかる。抱一が、琳派に熱烈に傾倒していた五十歳代後期の作であろう。

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