重要文化財
湯女図
データ
時代 | 江戸時代(17世紀) |
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素材・技法 | 紙本著色 一幅 |
サイズ | 72.5×80.1㎝ |
解説
近世に入り、庶民の風俗生活が主要な画題の一つになると、狩野(かのう)派などの正統派の技法を身につけたと見られる絵師ばかりでなく、次第にその主流が町絵師の手に移り、描写形式も、祭礼などの群衆描写から少人数の群像、さらに一人立ちの人物像へと変化していく。本図は、京や江戸で元和・寛永年間(1615~44)に流行した湯屋で働く六人の湯女を描いている。湯女は、初めは客の垢を流し髪を洗うのを仕事としたが、次第に容色を飾り、客の酒食の相手をするようになった。衣裳文様の華麗な美しさは、この時代の風俗画の特徴で、図中向かって左から二人目の湯女の着物に、篆字風の「沐」の字の柄が見られるのも興味深い。また、顔の生き生きとした表情は写実的であり、中央にふところ手をして闊歩する遊女を中心に、五人の女性を配した構図も見事で、これら湯女たちの街を連れ立って歩く描写は、のちの寛文期美人画に見られる優艶な理想化とは違い、生命力にあふれている。団家旧蔵。