男舞図
データ
時代 | 江戸時代(17世紀) |
---|---|
素材・技法 | 紙本著色 一幅 |
サイズ | 92.0×35.2㎝ |
解説
寛永から寛文期(1524~73)にかけて流行した舞踊立美人図の中に、若衆の麗姿を描いた一群の作品がある。いずれも花をかざした烏帽子(えぼし)をかぶり、派手な小袖に大太刀と御幣をつけて踊る図様をとり、一般に男舞と呼ばれている。本図は、「秋月」と染め抜いた華麗な着衣の舞姿で、ほかの男舞図とは趣きを異にし、独特の姿態表現に特色がある。また、着衣の右袖に「大」「小」の文字が見られるが、これは若衆歌舞伎盛行の時代に、中世以前の白拍子の踊りを当世風にアレンジし、これに常陸国鹿島神社の禰宜(ねぎ)(神官)たちによる鹿島の事触(ことぶれ)(その年の月の大小を言い立て、一年の豊凶・吉凶を予祝して全国を触れまわった)の風俗を取り入れた「大小の舞」の衣裳と思われる。