黒釉弁口龍耳瓶

データ

時代 中国・隋~唐時代(7世紀)
素材・技法
サイズ 高40.0㎝ 口径11.5×9.7㎝  胴径19.2㎝ 底径13.8㎝  

解説

口の両側をへこませ、それを龍頭が噛(か)みあげている。皮袋を思わせるササン朝ペルシア風のこのような形の瓶を中国で胡瓶(こへい)と呼んでいる。唐時代の中国では、胡と呼んだ異国の、特に西域地方の文化が取り入れられ、ことに工芸品にはペルシア文化の影響が濃厚に出てくる。いわゆる胡瓶には、白磁もあり、三彩もあるが、これはざんぐりとした卵殻色の土を用いたもので、漆黒の釉薬が高台内面をのぞく全面にかかっていて珍しい。胡瓶としては大きいほうで、八の字形に開いた高い高台や、豊かなふくらみをもつ胴の張りなどは唐の壺の特色だが、皮袋を締めた姿を思わせる口頸部の作り、張りのある把手の意匠などを加えて、写実的にまとめているのが面白い。龍状の把手には鱗状の刻線が細かに施してあり、その付け根を連珠文でまとめている。八の字形に開いた高台内は壺底まで深く、露胎(ろたい)で、半面の一部に同じ黒釉がかけられている。

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