国宝

色絵藤花文茶壺

データ

作者 野々村仁清
時代 江戸時代(17世紀)
素材・技法
サイズ 一口 高28.8㎝ 口径10.1㎝  胴径27.3㎝ 底径10.5㎝

解説

野々村仁清(生没年不詳)は丹波国桑田郡野々村(現、京都府北桑田郡美山町)の出で、本名を清右衛門という。瀬戸で轆轤(ろくろ)の修業を積み、洛西の仁和寺(にんなじ)門前に御室(おむろ)窯を開いた。「仁清」という号は、仁和寺の仁と清右衛門の清を合わせたもので、仁和寺を中心とする貴顕たちと交流を深め、それらの人々の求めに応じて華麗で典雅な作品を数多く残している。特に、後水尾院を中心にした宮廷サロンとの仲介役をなした茶人金森宗和とのかかわりの中で、野々村仁清は優美な陶器を次々と生み出した。  仁清の作品は、巧みな轆轤の技術と華麗な上絵付けに支えられた、茶壺、水指、茶碗、香炉、香合などの茶道具で占められているが、その代表作といわれるものが色絵の茶壺である。この色絵藤花文茶壺は、仁清の茶壺の中でも最高の傑作として名高く、京風文化の象徴的作品ともいえる。温かみのある白釉地の上に、咲き盛る藤花が巧みな構図で描かれており、花穂と蔓は赤や紫・金・銀などで彩られ、緑の葉には一枚一枚葉脈を施している。総体が均等に薄く挽(ひ)き上げられた端正な姿は、色絵の文様とほどよく調和しており、下部の土見(つちみ)も壺全体のバランスをよく保っている。底裏に「仁清」の小判形の大印が捺されている。丸亀藩・京極家伝来。

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