重要文化財

仙盞形水瓶

データ

時代 平安時代(11~12世紀)
素材・技法 白銅造 一口
サイズ 高37.0㎝ 胴径12.7㎝ 底径8.4㎝

解説

白銅を用いて鋳造したもので、全体に轆轤(ろくろ)挽きによる削り仕上げが行われた美しい形の水瓶である。細長い八角筒形の鈕(ちゅう)をもつ笠形の蓋、細長い頸をもつ卵形のふっくらとした胴、外開きの低い高台とからなる、いわゆる仙盞形の水瓶で、肩には中央に強い締まり目をもつ布袋形の注ぎ口をつけている。笠形の蓋は胴と接着していて取りはずすことができない。注ぎ口の蓋は蝶番(ちょうつがい)で取り付けられていたが欠失している。また、胴の底は嵌底となっている。この水瓶の形式に属するものに、奈良時代のものと考えられる法隆寺献納宝物の仙盞形水瓶があり、また高麗墳墓出土の銅製の浄瓶がこれときわめて近い形式をもっている。法隆寺献納宝物の水瓶は胴が丸く張っているのに対し、この水瓶は胴尻がやや細長く、高さのわりに胴径が細いところから、時代がそれより下るものと思われる。しかし、平安後期の作とされる鞍馬寺経塚出土の銅水瓶と比較すると、胴径が太くふくらみがあり、いちだんと豊かな形姿を示しており、形式からみて製作期はこれより若干上るものと考えられる。もとは教王護国寺(東寺)に伝来したもので、当館所蔵の「鳥牡丹彩絵曲物笥(まげものけ)」(図版194)の中に納められていたといわれている。

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