重要文化財
観音菩薩立像
データ
時代 | 中国・隋時代(6世紀) |
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素材・技法 | 銅造鍍金 一口 |
サイズ | 総高35.8㎝ 像高17.4㎝ |
解説
細身の体躯に重々しい瓔珞(ようらく)をつけた菩薩形の立像で、細かい細工を施した宝冠の中央に化仏(けぶつ)(如来(にょらい)坐像)をつけるところから観音菩薩であると考えられる。宝冠は中国六朝時代以降によく見られる三面頭飾の発展した形のもので、耳の上に大きな花文が見える。右手は肩まで上げて宝珠を捧げ、左手はまっすぐ下げて天衣(てんね)の端をとる。瓔珞は太く、腰裳を飾る装飾とともに細身の体躯を華麗に縁取っている。両肩には大きい宝珠がつけられ、その下を流れるように下がった垂髪は、腕の両脇で二つの蕨手を形作っている。この像で最も目を引くのは宝珠形をした美しい光背で、中央の透かし彫りの部分には複雑な唐草文様の上に七仏を配し、外周には火炎光がめぐらされている。少し反り身にした体躯や左右相称の形に六朝仏の様式が残るが、穏やかで丸みを帯びた相好と自然に垂下した天衣の表現から見て、隋時代の典型的作例といってよい。