【問い合わせ】
MOA美術館 能楽堂係 0557-84-2500
2021.11.27(土)
能「紅葉狩」
◆熱海座 11月演能会
開催日時:11月27日(土)13時30分開演
能 宝生流「紅葉狩」
シテ 宝生 和英 宝生流二十世宗家
ワキ 大日方 寛
笛 小野寺竜一
小鼓 大倉源次郎
大鼓 柿原 光博
太鼓 小寺真佐人
アイ 山本泰太郎、山本則孝
狂言 大蔵流「昆布売」
シテ 山本泰太郎
料金:◎料金(全席指定・入館料込)
SS席 一 般 ¥8,000(友の会 ¥7,000)
S席 一 般 ¥7,500(友の会 ¥6,500)
A席 一 般 ¥5,000(友の会 ¥3,500)
B席 一 般 ¥4,000(友の会 ¥2,500)
【問い合わせ】
MOA美術館 能楽堂係 0557-84-2500
能 「紅葉狩」 一口コラム
(1)「紅葉狩」あらすじ
信濃国(長野県)戸隠山(とがくしやま)の鬼伝説。その鬼は女性で名前は紅葉(もみじ)。平安時代の武士・平維茂(たいらのこれもち)に退治されたと伝えられます。
美しい紅葉に彩られたとある山中で、高貴な姿の女性が、数人の侍女を連れて紅葉狩の宴を催しています。鹿狩りの途中に通りかかった平維茂の一行は、勧められるままに盃を重ね、眠り込んでしまいます。
維茂の夢の中に、男山八幡の末社の神が現れます。ここが戸隠山で維茂は勅命により鬼退治に来たこと、女は鬼が変化したものであることを告げ、八幡神より下された太刀を維茂に授けます。
目を覚ました維茂に、正体を現した鬼が襲いかかりますが、維茂は神剣を振るって勇敢に戦い、ついに鬼を退治してしまうのでした。
(2)「紅葉狩」 みどころ
能「紅葉狩」の作者は観世信光(かんぜ のぶみつ)です。
「幽玄美」を追求した世阿弥(ぜあみ)とは対照的に、「風流」を取り入れた華やかでわかりやすい作品を残しました。将軍や公家の庇護を受けていた世阿弥と違い、応仁の乱に始まる乱世を生きた信光の時代は、幽玄よりも娯楽性が求められた為と考えられています。
「紅葉狩」はそうした信光の代表作の一つです。優雅な舞をみせる女の姿から、一転して恐ろしい鬼となって維茂一行を襲う劇的な展開が見どころです。
平維茂は平安中期の武勇に優れた武将で、信濃守(信濃国の長官)に任じられたこともあったので、〈紅葉狩〉の登場人物に選ばれたと考えられています。その維茂の活躍も見どころです。
熱海の紅葉は、毎年11月下旬から12月上旬にかけて色づくため「日本一遅い紅葉」とも言われます。MOA美術館では、日本庭園「茶の庭」の紅葉が一斉に朱に染まるこの季節、秋の演能会「紅葉狩」をどうぞお楽しみください。
狂言 「昆布売り」 一口コラム
(1) 「昆布売り」あらすじとみどころ
太刀持ちを連れていない大名は、都へ上る道中に出会った若狭の国・小浜の昆布売に、半ば強引に太刀を持たせて同道させます。無理やり太刀を持たされ、怒った昆布売は隙をついて太刀を振り上げ大名を脅します。大名に平家節・小唄節・踊り節と謡で昆布を売らせるところが楽しい狂言です。
(2)昆布売りが売っていた昆布って?
若狭・小浜の特産品〈召しの昆布〉
日本海の良港、小浜は海産物の集積地として古くより名高く、北海道から北前船で海上輸送された昆布は小浜で加工され、若狭街道を経由して召しの昆布(献上品)として京都にもたらされていました。
今でも日本海に面した港町、敦賀市は手すきおぼろ昆布の全国シェアの80パーセントを占めているそうです。昆布の表面を包丁で薄く削っていくおぼろ昆布はまるで芸術品のようだと言われています。
出演者(シテ)紹介
宝生和英(宝生流二十世宗家)
1986年、室町時代より続く能楽の名門、宝生家に生まれる。1991年「西王母」子方で初舞台。2008年、東京藝術大学音楽学部邦楽科を卒業後、同年4月に宗家を継承。10月には、自身の能楽に対する想いに賛同した有志達と「和の会」を発足し、2018年にグランドフィナーレを迎えるまで主宰。伝統的な演出に重きをおく一方で、異業種とのコラボレーション企画などに取り組み、能楽の新たな価値の創造を模索するためマネジメント・経営業務も精力的に行う。国内はもちろん、イタリアを中心とした海外文化活動にも力を入れている。
2008年東京藝術大学アカンサス音楽賞受賞、2019年第40回松尾芸能賞新人賞受賞。
宝生会常務理事、石川県能楽文化協会 名誉顧問、裏千家淡交会 東京第一東支部 支部顧問。
山本泰太郎(狂言方 大蔵流)
1971年、埼玉県狭山市出身。1976年「靭猿」の小猿で初舞台。1988年国立能楽堂開場五周年記念「千歳」、1991年山本会別会にて「三番三」、1992年研究会別会にて「那須」、1994年国立能楽堂狂言の会「獅子聟」、1996年山本会別会追善公演「釣狐」、2005年山本会別会「花子」を披く。2011年1月第65回文化庁芸術祭において、「狂言方大蔵流として、近年とくにめざましい活躍を示し、古格を守る山本東次郎家の継承者としての優れた舞台成果に大きな期待が寄せられ、日本の伝統文化の明日を担う存在として高く評価できる」として芸術祭優秀賞を受賞。