人間国宝・大倉源次郎、辰巳満次郎、野村萬斎、野村祐基ほか、能楽師が講師となって能楽器体験(第1部)と、講座と鑑賞(第2部)の2部構成で開催します。
開催日時:2021年8月25日(水)
第1部
ひな人形の五人囃子で御馴染みの能楽器を体験します。
楽器体験 10時30分~(申し込み先着60名)
会場 3階応接室
講師 囃子方能楽師
一噌流 小野寺竜一
大倉流 飯冨孔明
葛野流 原岡一之
観世流 林雄一郎
※ 第1部・体験コーナーのチケットは予定枚数を終了いたしました。
第2部
講座と能楽鑑賞 13時開演(12時20分開場)
会場 能楽堂
①能楽講座 講師 大倉源次郎(小鼓方大倉流宗家 人間国宝)
②演目解説 狂言「盆山」和泉流 野村 萬斎
能 「黒塚」宝生流 辰巳満次郎
③能楽鑑賞
狂言 和泉流「盆 山」
シテ 野村祐基
アド 石田淡朗
能 宝生流「黒 塚」
シテ 辰巳満次郎
ワキ 大日方 寛
ワキツレ 則久英志
アイ 野村萬斎
笛 小野寺竜一
小鼓 飯冨孔明
大鼓 原岡一之
太鼓 金春惣右衛門
料金:
第1部・能楽器体験
500円(1部のみ参加の場合は入館料が別途必要です)
第2部・講座と鑑賞
S席6,000円(友の会4,000円)
A席5,000円(友の会3,000円)
B席4,000円(友の会2,000円)
小中学生席1,000円(小学生は大人同伴が必要です)
※第2部の能楽鑑賞チケットにてMOA美術館の展示もご覧いただけます。
当ホームページ、公式オンラインチケットにてお求めいただけます。
能楽教室 ひとくちメモ
(1)能「黒塚」あらすじ
諸国を巡る旅に出た熊野那智の山伏・東光坊(とうこうぼう)の阿闍梨祐慶(あじゃり・ゆうけい)とその一行は、陸奥国安達ヶ原で、老女の住む粗末な小屋に一夜の宿を借ります。 そこで従者が発見した世にも恐ろしい光景に「黒塚に住むという鬼は彼女であったか!」と一行は家から逃げ出しますが、正体を知られたと悟った鬼女が怒りの形相で追ってきて…。
(2)枠桛輪(わくかせわ)~前半のみどころ
能「黒塚」前半に登場する小道具「枠桛輪(わくかせわ)」。
能の小道具では珍しい、実際に動かして糸を巻く装置のことです。
この枠桛輪の糸を繰りながら老女がわが身を嘆き謡うシーンは、前場面の見せ場です。
糸を巻く手を動かしたり、止めたり、激しく回したりしながら、感情を表現します。
(3)決して見ないでください!
能「黒塚」では庵に住む老女が、「決して寝室は覗かないでください」と言い残して裏山に薪を採りに行った隙に、能力(野村萬斎さん)が我慢しきれず覗いてしまい…、という場面も大きな見どころ。
決して見ないで!と言われると、人はどうしても見たくなるものです。
民話の「鶴の恩返し」や「浦島太郎」のお話などにも見られます。今も昔も人の気持ちはかわりませんね。
(4)後半のみどころ
山伏たちに懇願されて宿を貸した女性は、枠桛輪を使うところ見せてあげ、その上寒くないように薪を取りに行きます。それなのに「寝室を見ないで」と言った約束を破った山伏達に怒り鬼の姿を現わし、祐慶たちに襲いかかる場面が後半の見どころです。この時の鬼女の心情をくみ取り、人間の本性を感じることができるでしょうか?
(5)阿闍梨
黒塚に登場する東光坊の山伏「阿闍梨祐慶」。阿闍梨とは高僧を意味する梵語(アーチャリー)を語源としていて、天台・真言の僧位を表し、深い学識や高い徳を備えた僧侶のことです。
京都の銘菓として有名な「阿闍梨餅」の形は、比叡山の千日回峰修行をおこなう阿闍梨がかぶる「網代笠」を型どったもので、厳しい修行の中、餅を食べながら飢えをしのんでいたことにちなんで、阿闍梨餅が誕生したと言われています。
(6)黒塚伝説の謎
福島県二本松市安達ヶ原は、高村光太郎の『智恵子抄』で有名な安達太良山の麓で、智恵子の歌った美しい「本当の空」のあるところです。
二本松市にある天台宗の古刹、真弓山観世寺境内には、鬼が棲んだ岩谷と言われる巨岩や、出刃包丁を洗った場所と言われる池が今もあるそうです。山門の北にある「黒塚」は裕慶らに折伏された鬼女のなきがらを葬った場所とも言われ、松尾芭蕉も『奥の細道』の旅でそう記しています。観世寺の開基は神亀3年(726年)、阿闍梨裕慶とされていますので、「安達ヶ原」の鬼伝説は奈良時代ということになりますが、謎は深まるばかりですね。
(7)狂言「盆山」あらすじ
世間では盆山(日本庭園のミニチュア版)が大流行しています。知り合いの主人が豪華な盆山をたくさん所有していると知った男が、屋敷へ盗みに忍び込みますが、主人に居場所を見抜かれてしまい…。
効果音や動物の鳴き声を演者の声だけで表現する楽しい狂言です。今回は野村萬斎さんの長男の野村祐基さんがシテを演じます。