重要美術品
春日鹿曼荼羅図
データ
時代 | 鎌倉時代(13世紀) |
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素材・技法 | 絹本著色 一幅 |
サイズ | 107.2×48.6㎝ |
解説
本地垂迹(ほんじすいじゃく)思想によって、平安時代後期から宮(みや)曼荼羅あるいは社寺曼荼羅と呼ばれる垂迹絵画が多数制作された。本図は、鹿曼荼羅と呼ばれるもので、春日明神が鹿島から奈良へ影向(ようごう)する折に、鹿の背に坐したことに由来する図様である。神鹿上の榊に懸けた鏡面を御神体とし、そこに春日五社の本地仏(ほんじぶつ)を描く通常の形式であるが、本図では春日四宮の本地である十一面観音を中央に大きく描いているという特色が見られる。神鹿は、左斜め前から見た立体的描法で、生き生きと写実的に表現されており、鏡面上の本地仏も伸びやかな線で立体的に描かれている。背景を暗くして、鏡を金で明るく表現する手法は、宮曼荼羅に共通するもので、鏡面の五尊には懸仏(かけぼとけ)的な感覚も見受けられる。