重要文化財

源重之像(上畳本三十六歌仙切)

データ

時代 鎌倉時代(13世紀)
素材・技法 紙本著色 一幅
サイズ 28.9×48.4㎝

解説

三十六歌仙とは、藤原公任(きんとう)によって選ばれた三十六人の著名な歌人を指し、和歌の道において大変尊敬され、12世紀にはすでに画像の制作が行われていた。本図は、佐竹本三十六歌仙絵巻と同様に、もとは絵巻物仕立てであったものの断簡(だんかん)で、歌人がみな畳の上に坐す姿で描かれているところから、上畳本と称される。人物のみの佐竹本に比べ、上畳本は畳一畳の上に坐すという制約があって多少窮屈な観をまぬがれない。しかし、この形はより古様な歌仙絵の伝統を受け継ぐもので、画面全体に安定感を感じさせる。描線に見られるゆるやかな運筆によって、この絵の全体に穏やかで優しい印象を与えている。神経の行き届いた、描写力の優れた点などから見て、鎌倉時代の似絵(にせえ)の名手の作品と考えられるものである。
(賛詞)
従五位下左馬助源朝臣重之
宰相兼忠三男
よしのやまみねのしら雪いつきえて
けさはかすみのたちかはるらん

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