織部扇形蓋物
データ
時代 | 桃山時代(17世紀初期) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一合 総高11.4㎝ 径29.5×25.0㎝ |
解説
織部は、技法や作風から青織部・総織部・赤織部・絵織部、あるいは志野織部・伊賀織部・唐津織部などに分類されるが、この蓋物のように、銅呈色による緑色の釉薬がかかり、鉄絵文様があるものを青織部と称している。青織部は遺品が多く、茶席用の蓋物もかなりある。この蓋物は、扇面をかたどったもので、素地を平板にして扇形に成形し、蓋には竹の根風にした把手をつけ、扇の要の部分から扇骨・地紙にあたる部分などを線彫りや浮き彫りで区分している。蓋表は、要と地紙にあたる部分の一部に緑釉を厚くかけ、その他の素地には白土で化粧を施した後、鉄絵具で、要には縦筋を、地紙にあたる部分には幾何学文を描いている。身にはたっぷりと緑釉をかけ、先端部のみに白地を残し、鉄絵具で横線を入れている。要や扇骨の浮き彫り、地紙の文様など、溌剌とした創意あふれる作行きが面白い。