色絵五艘船文大平鉢 伊万里
データ
時代 | 江戸時代(17世紀末~18世紀初期) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一口 高9.0㎝ 口径36.5㎝ 高台径20.5㎝ |
解説
古伊万里型物(かたもの)と呼ばれている何種かの鉢の中でも、これは特に声価が高い五艘船文様の独楽(こま)形の大平鉢である。見込みの側面には八人のオランダ人が表され、裏面の二方にも二人のオランダ人を内に表した赤玉文が描かれ、蘭船と呼応するこの作品の文様の主題をなしている。赤・黒・緑・紫に金彩を加えて,ほぼ全面を染付と上絵具で加飾しているが、それらの細かい文様が的確な筆致で整然と描かれているところに、この種の古伊万里型物の特色がある。また、裏面に染付と赤や金で伸びやかに描かれた唐草風の牡丹文は、なかなか古格を示している。高台内に目跡(めあと)が三つ残り、中央に赤で縁取りした金彩で「寿」の一字を表している。口縁にも金彩が口紅風に施されていたが、そのほとんどは剥落している。五艘船文様は、17世紀におけるオランダとの交易によって生まれた独特の文様で、輸出用ではなく、国内向けの特製品と思われる。