建築について

新しい美術館のあり方を追求し、美術品がもっとも美しく映える空間が実現します。

紅白梅図屏風

 

至高の光り 至高の場

私はMOA美術館にある数々の日本文化の至宝を、その最高の光りと場で見てみたいと思った。足利義政が慈照寺「東求堂」で見た光り、千利休が茶室「待庵」で見た光り。そうした前近代の光りを美術館の内部に実現する為に、私は前近代の素材にこだわった。それは、屋久杉であり、黒漆喰であり、畳だった。美術館という近代装置の内に前近代を見せるという使命を、私は自身に課したのだ。難題解決の試行錯誤の果てに、 私は最先端の光学技術を舞台裏に忍び込ませることに成功した。
私の中では最も古いものが、最も新しいものに変わるのだ。

杉本博司

メインロビー

建築

ロビーエリア、展示スペースの設計を、世界的に活躍する現代美術作家 杉本博司が建築家 榊田倫之と共に主宰する「新素材研究所」が手がけました。
古代や中世、近世に用いられた素材や技法を、現代にどう再構築して受け継いでいくかという問いに取りくみ、さまざまな試みを行いました。
国宝「色絵藤花文茶壺」の部屋は、職人の技術の粋をきわめた仕上げで、江戸黒ともよばれる深みのある黒漆喰の美しい壁でかこまれています。展示スペースには、樹齢数百年の行者杉をつかった框を配するなど、そこに飾られるものの美を最大限に生かし、古びないあたらしさを感じさせるでしょう。
日本の伝統的な素材を用いた現代的な空間が、あたらしいMOA美術館を体現します。

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ショップ

おなじくリニューアルするミュージアムショップでは、オリジナルグッズや、工芸作家の手による貴重な限定商品も取りそろえ、暮らしのなかに小さな美を取りいれる楽しさを提供しています。

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レストラン カフェ

館内には、本格フレンチのカフェ・レストランがオープンしました。この地の自然がはぐくんだ滋味あふれる食材を用いた、伝統的なフレンチ。ここでしか味わえないみごとなハーモニーで鑑賞の余韻を引きたててくれることでしょう。
そのほかにも、相模灘を一望できる1Fロビーの気軽にくつろげるカフェ・ステーションにもお越しください。茶庭には、「花の茶屋」がオープンしました。地産地消・オーガニック素材にこだわった本格的な日本料理をカジュアルな価格でご提供します。また「二條新町 そばの坊」もお楽しみください。

all images ©NMRL/Hiroshi Sugimoto+Tomoyuki Sakakida


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