重要文化財
寒江独釣図
データ
作者 | 伝 馬麟 |
---|---|
時代 | 中国・元時代(14世紀) |
素材・技法 | 絹本墨画淡彩 一幅 |
サイズ | 31.4×51.2㎝ |
解説
水上に篷(とま)を設け、仕掛けた四つ手網を、一漁師がじっと見守っている。簫条 (しょうじょう)たる寒江に臨んで漁をする漁師と、降りかかる雪、囲りをとりまく厳しい大自然の情景などの表出に成功した傑作である。皴法 (しゅんぽう)、樹法などは、対象を細い墨線で着実に表現していく精緻な描写で、色彩は淡墨彩の上にわずかに淡茶や淡朱を点じた温和なものである。伝承ではこの図の筆者を馬麟としているが、馬遠 (ばえん)一派の画風とは表現を異にしている。馬麟は、南宋院体画の定型を作り上げた馬遠の子で、その特色である平明さと抒情性をさらに推し進めた画人である。黒田家伝来。