蓮に鶺鴒・葦に翡翠図
データ
作者 | 伝 牧谿 |
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時代 | 中国・南宋時代(12~13世紀) |
素材・技法 | 紙本墨画 双幅 |
サイズ | 各 79.3×30.8㎝ |
解説
牧谿は諱(いみな)を法常という蜀(しょく)の禅僧で、禅余に墨画をよくしたが、中国では後世「粗悪にして古法なし」などと評された。しかし、わが国では室町時代以来、最高級の宋画として扱われ、この図も、わが国における牧谿画受容の一面を示す遺作ということができる。蓮に鶺鴒、葦に翡翠を一幅ずつに描き、墨一色ながら季節の変化を盛り込んだ双幅となっている。筆使いはきわめて軽妙で、瀟洒な雰囲気にあふれた画面をつくりあげており、牧谿本来の墨調とはやや異なる趣きを呈しているが、いわゆる牧谿画の一画態を示す作である。両幅の上方に「牧谿」の朱文方印、下隅に「善阿」の朱文瓢形印が捺してある。「善阿」の朱文瓢形印は、室町時代の有力な鑑蔵印であり、この図の伝来の正しさを証明している。