重要美術品
源三位頼政像
データ
時代 | 鎌倉時代(13世紀) |
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素材・技法 | 絹本著色 一幅 |
サイズ | 98.0×67.0㎝ |
解説
日本の肖像画は、鎌倉時代に至って盛んに描かれるようになるが、「生けるがごとき容貌」を求めた禅宗の頂相(ちんぞう)の影響も受けて、肖像としての個性的な描写に優れた作品が次々と生まれた。本図は、源氏再興の先駆けとなった源頼政を描いたものといわれる。衣冠束帯の強装束の正装で畳上に坐す姿は威厳に満ちているが、その衣の線は鋭く固く様式化している。それに比べて、面貌は極めて細かなところまで生き生きと描き出している。この顔の表現は似絵の初期の手法に近いもので、後の体全体を似せて描く肖像の手法とは少し趣きを異にしている。肖像画初期の特色ある一点である。画面右上の色紙形には、頼政の和歌一首が書かれている。狩野家伝来。
庭の面はまたかはかぬに夕立の
空さりけなくすめる月かな