重要文化財
布袋図
データ
作者 | 黙庵霊淵 了庵清欲 賛 |
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時代 | 南北朝時代(14世紀) |
素材・技法 | 紙本墨画 一幅 |
サイズ | 80.3×31.8㎝ |
解説
黙庵は諱(いみな)を霊淵といい、嘉暦年間(1326~29)に元に渡り、彼の地で没した禅僧で、初め浄慈寺に住し、その間、西湖の六通寺を訪れて牧谿(もっけい)の再来と謳われた。その後、本覚寺の了庵清欲の下で蔵主となったが(元統元年・1333~至正3年・1343)、この図も図上に了庵清欲の著賛があるところから、ほぼその頃の作品と考えられる。この図は、弥勒下生(みろくげしょう)を告知して中空を指さす布袋の姿を描いている。布袋は、唐代の僧で、大きい袋に日用品一切を入れ、ところ構わず眠り、奇跡を行ったといわれる。粗衣を大胆な略筆で描き、微笑の顔に濃墨の細線と暈(ぼか)しを用いるなど、用筆の使い分けと墨色の調和が見事である。当時流行していた、簡略な筆致の中に鋭い禅の機縁を表す図である。
(賛詞)
指端光恠本相
見肚皮雖大眼
巳眩放浪多游
族姓家只个布
嚢推不轉
本覚比丘清欲賛
「天台沙門清欲了庵章」(白文方印)
「少林心印」(朱文方印)