堀江物語絵巻
データ
作者 | 伝 岩佐又兵衛勝以 |
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時代 | 江戸時代(17世紀) |
素材・技法 | 紙本著色 十二巻 |
サイズ | 35.2×14809.0㎝ |
解説
もともと全二十巻に達する膨大な力作であったと推定される「堀江物語絵巻」は、今日香雪美術館などにその一部が伝存する。この巻物はその詞書をそのまま用い、挿図の数を少なくし、図柄を締めて十二巻に仕立てられたものとされる。『山中常盤物語』や『浄瑠璃姫物語』と同じく、御伽草子系の物語で、操浄瑠璃などで上演されていたものを絵巻物化したものである。『堀江物語』は、東国豪族間の紛争を舞台に、父母の仇討ちと堀江氏の再興を果たす物語であるが、この絵巻のあり方は中世の合戦絵の系譜に属する絵巻物ともいえよう。十二巻中、繰り返し凄惨な合戦場面や惨酷な殺教場面が描かれているが、この傾向は、山中常盤物語にも共通する点で、勝以筆とされる古浄瑠璃の絵巻物の特徴である。装飾性の強い彩色や又兵衛風といわれる(ほうきょうちちょうい)豊頬長顎の人物描写の特徴なども同様で、勝以を棟梁とした工房作とみることができよう。