見立寒山拾得図 

データ

作者 石川豊信
時代 江戸時代(18世紀)
素材・技法 絹本著色 一幅
サイズ 84.3×34.9㎝

解説

石川豊信は、寛延・宝暦期(1748~64)に活躍した美人画家である。衣裳の文様表現や彩色は巧みで、豊かな顔立ちの理想的女性美をつくり出している。浮世絵では、見立絵という主題の取り上げ方があるが、これは古い時代の物語や故事を江戸時代の人物風俗におきかえて表現し、作品に趣を添えようとするものである。本図は寒山拾得は、中国の天台山国清寺に済んだと伝える禅僧であるが、本図では寒山拾得を今様風俗の男女に見立て描いている。若衆は、黒の長羽織を着て、小紋の青地の着物、手には恋文を持っているので寒山を暗示している。娘は手に箒を持つ拾得であるが、髪型は当時流行しはじめた刺で上にはね上げた島田髷で、着物は薄紅地に芦・流水に葵文様を散らしている。温厚で丸顔の豊艶な美人図となっており、肥痩のない描線と落ちついた着彩に豊信の特徴が表れている。初期肉筆浮世絵版画に活躍した豊信の数少ない肉筆画の一つである。

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