寸松庵色紙
データ
作者 | 伝 紀貫之 |
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時代 | 平安時代(11世紀後期) |
素材・技法 | 彩箋墨書 一幅 |
サイズ | 13.0×12.9㎝ |
解説
『古今和歌集』の四季の歌を書写したもので、色紙と称されているが、前図の継色紙と同じく、もとは粘葉(でつちょう)装の冊子本であった。寸松庵色紙は、和泉国堺の南宗寺の障子(襖)に三十六枚が押されてあったのを、茶人の佐久間将監真勝(さねかつ)(1570~1642)がそのうちの十二枚を得て珍蔵していたといわれる。真勝は、大徳寺の塔頭(たっちゅう)龍光院の南に寸松庵を建て、そこに茶室を設けた。色紙の名称は、これに由来するといわれる。料紙は、薄茶・赤など種々の唐紙に、唐草・雲鶴・草花などの型文様を装飾しているものなどがあり、料紙一枚に和歌一首が散らし書きにされている。本図の一葉は、白の具引きのみの唐紙が使用されていて、運筆は自在で抑揚の変化に富み、優雅で格調が高い。三色紙の一つとして名高い名品である。11世紀後期の書写と推定されている。
つらゆき
むめのかのふりお
けるゆきにうつり
せはたれかことこと
わきてをらまし