重要文化財

古林清茂墨跡 送別偈

データ

作者 古林清茂
時代 中国・元時代 至治元年(1321)
素材・技法 紙本墨書 一幅
サイズ 33.0×63.4㎝

解説

古林清茂(茂古林(むくりん) 1262~1329)が、日本僧天然興運の請いに応じて書き与えた送別の偈である。茂古林は、中国元時代禅林の第一人者といわれ、わが国の月林道皎(げつりんどうこう)(梅津長福寺開山)、石室善玖(せきしつぜんきゅう)(武蔵平林寺開山)は、ともにその門下である。茂古林の墨跡は、美辞麗句よりも修学の要諦を説く教育的内容に徹しており、その力強い書風は古来墨跡中の白眉といわれ、珍重されている。
この墨跡は、茂古林が湖南省澹湖(せんこ)に近い寺に住していた時のもので、至治元年(1321)と記されているから、茂古林六十歳の遺墨である。茂古林が優れた器量の人物と認めた「日東運禅人」とは、天然興運のことと考えられる。
(訓読)
海国の禅人道韻高し。
遠く湖寺に来る豈徒労ならんや。
頂門の眼活(まなこかつ)として天地に通ず。
塵刹(じんさつ)三千一毫(ごう)に在り。
日東の運禅人、湖寺に聚首(じゅうしゅ)す。所存道に在り。
人に過ぐるの長、語黙の及ぶ可きに非ず。
別れて江西(こうせい)に去る。紙を出して偈を徴(もと)む。
筆を迅(はや)めて請を塞(ふさ)ぐ。ときに。
至治元年三月廿日。澹湖(せんこ)休居叟 清茂
「休居子」白文方印 「金剛幢」朱文方印

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