唐物箆目肩衝茶入 大名物
データ
時代 | 中国・南宋~元時代(13~14世紀) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一口 高9.8㎝ 口径4.9㎝ 胴径8.9㎝ 底径5.0㎝ |
解説
唐物茶入は、16世紀以降、侘び数寄の台頭にしたがって権威づけがなされ、歴代の数寄者たちによって賞玩された。その多くが、千利休以前の「大名物」として今日に伝わっている。この箆目肩衝茶入はそうした「大名物」の一つで、肩から胴裾にかけて斜めに六筋の箆目を入れていることからその名がつけられた。一名「紀伊胴高」とも呼ばれるが、これは紀州徳川家に伝来したことによる。素地は唐物茶入独特の灰黒色の細かい土で、その上に紫褐色を帯びた光沢のある飴色の釉薬が施されている。口造りは、ひねり返しの強い大造りにもかかわらず、薄く成形されており、底は平らで板おこしの跡が残されている。唐物の中でも特徴のある茶入である。茶地市松風通(ふうつう)、梅鉢唐草緞子(どんす)の仕覆(しふく)が添えられている。もと、堺の紅屋宗陽が所持し、塩屋宗悦を経て今井宗薫の手に渡り、さらにその子宗呑に伝わり、宗呑が家康に献上した。これが「駿府御分物(すんぷおわけもの)」として紀州頼宣に与えられ、以後代々同家に伝来した。