彫三島茶碗 銘 残雪

データ

時代 朝鮮時代(16~17世紀)
素材・技法
サイズ 一口 高6.2㎝ 口径14.9㎝ 高台径5.0㎝

解説

彫三島茶碗は、古渡りの古三島茶碗をもとに茶人の好みを反映させ、天正年間(1573~92)以後、文禄(1592~96)・慶長(1596~1615)の頃に朝鮮に注文して作らせた茶碗で、わが国に比較的多く伝世している。彫三島茶碗には二つのタイプがある。一つは見込みが深く、柔らかく焼成されたもので、もう一つは見込みが浅く、堅く焼成されたものである。この「残雪」は後者のタイプで、彫三島の典型的な文様である檜垣文を外側に二段、内側に三段、白土を埋め込んで象嵌(ぞうがん)している。見込みには印花文が十一個整然と白象嵌で表されており、茶溜りの回りには目跡(めあと)が九つ残っている。高台内はくっきりと削り込んであり、縮緬(ちりめん)状の皺(しわ)が見られる。「残雪」の銘の由来は、『大正名器鑑』によると、茶褐色の地の上に白釉のかかった様子を残雪に見立てたものであるという。彫三島茶碗の中では、引き締まった瀟洒な作行きの茶碗である。

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