色絵粟鶉文八角鉢 伊万里 柿右衛門様式
データ
時代 | 江戸時代(17世紀) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一口 高7.6㎝ 口径24.2㎝ 高台径12.7㎝ |
解説
柿右衛門の作品を代表する著名な図柄で、その華麗さはこの上ないものがある。元禄年間(1688〜1704)頃の柿右衛門乳白手の典型的な作例で、この「粟に鶉」の文様はヨーロッパで特に愛好された。よく精製された純白の素地の見込みに、余白を充分に取りながら、右方に粟と二羽の鶉を、左方に萩を描いている。繊細な筆捌きで、濃淡二種類の赤と、黄・青・紺・黒などの諸色を用いて描いた、絵画的な柿右衛門独特の構図に雅味がある。薄く作られた八角形の鉢で、鐔(つば)状の部分には赤で唐草文を、八角の各々の角には花文を配し、一段立ち上げた口縁には口紅風に銹釉を塗っている。鉢の外側面は純白の素地のままで文様はなく、高台内に目跡(めあと)が三つ残っている。総じて、完成の域に達した乳白手の素地を最大限に生かしたもので、柿右衛門様式の確立が認められる。