鳥籠蒔絵平文阿古陀形香炉
データ
時代 | 鎌倉時代(13世紀) |
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素材・技法 | |
サイズ | 一基 総高6.7㎝ 径6.1㎝ |
解説
中に銅製鍍金(ときん)のおとしを納め、上に六ツ目籠編みの火屋(ほや)を被せた香炉である。胴部に六弁形の凹凸があり、阿古陀瓜に似ているところから阿古陀形と称されている。籠目に小鳥を配した文様は、鳥籠を巧みに意匠化したものといえる。鳥の配置は整然としているが、その姿には、それぞれ異なった動きが見られる。全体に金粉を厚く蒔きつけて金の沃懸地(いかけじ)とし、この地に銀の薄板を用いた平文によって籠目と鳥を表している。さらに鳥の文様には、金の毛打ちによって、目や羽などの細部が描かれている。平文の技法は古く奈良時代に漆芸の技法として盛行したが、これが金蒔絵と併用されて独特の落ち着いた効果を喜ぶようになるのは鎌倉時代になってからである。この香炉は、引き締まった形態や漆芸技法の点から鎌倉時代も早い時期の作であることは間違いなく、現存する最古の遺例として貴重である。原三渓旧蔵。